R8Cマイコンモーター回転計の製作
<きっかけ>
タミヤチャレンジカップなどのモーター指定のレースではモーターの性能を最高に発揮できるように、メンテナンスやモーターならしが必要なようです。自分のモーターの性能や状態を把握するために、モーター回転数を測定できるモーターならし機を製作したくなりました。
モーターならし機 540モーターならし中
上部にモーター回転数、電圧、経過時間、1V当りの回転数、消費電流を表示する液晶ディスプレイを取り付け、正面左よりリセットスイッチ、将来用未使用スイッチ(ならし時間セット用)、電圧カットスイッチ、モーター接続コード、パイロットランプ、電圧調整ボリュームを取り付けています。
モーターならし機内部
マイコンは液晶の下に配置し、センサーはケースの蓋に取り付けています。
<充電器の仕様>
電源 |
7.2V〜12V程度 |
最大電流 |
12A程度 |
パワートランジスター |
2SD113 200W 30A |
回転数検出方式 |
フォトリフレクター RPR-220による赤外線センサー方式 |
電圧可変回路 |
LM317T 可変三端子レギュレーター使用 |
使用マイコン |
ルネサステクノロジ R8C/15 サンハヤトDIPタイプ |
ディスプレイ表示 |
回転数、出力電圧、経過時間、1V当り回転数、消費電流 |
マイコン開発ソフト |
トランジスタ技術付録ルネサステクノロジHEW4 C言語使用 |
<設計方針>
AC電源が無くても使用できるように、ラジコン用7.2V電池が使用できるようにする。
R8C急速充電器と同じケースにして大きさ、デザインを統一する。
<回路>
回路はモーターを回す電源部と回転数、電圧、電流を測定するマイコン部に分けられます。
電源部は1V程度〜7.2Vまで可変と、定電圧電源としては低い1Vから使用できるように、1.2Vから可変できる三端子レギュレーターLM317Tを使用しました。LM317Tは1.5Aまでの電流しか流せないので、2SD113で電流を増幅しています。0.05Ωと2SC1815の保護回路(12A電流制限)を付けています。
マイコン部はR8CのタイマXイベントカウンターモードを使用して回転数の測定を行います。
回路図
<製作>
ケースはタカチのアルミケース15x10x4cmを使用し、今回はケースを放熱器代わりにして小型の電動ファンを付けています。
プリント基板配線状況
ケース後部 ファン取り付け前の状態
左側放熱器はメタルキャンタイプのトランジスター用放熱器が手に入らなかったので、ケースの放熱用に付けています。
モーター先端 回転数計測用アダプター
タミヤの瞬間接着剤用のノズルが丁度モーターシャフトにきっちりはまるので、カットしてマスキングテープを巻き、半分に赤外線反射用のアルミテープを貼り付け、半分はマジックで黒く塗りつぶします。モーター1回転で1つのパルスが発生し、そのパルスを1秒ごとにカウントして回転数を表示します。
回転数の計測中
モーター回転数はケース上部の穴に計測用アダプターを付けたモーターシャフトを差し込んで計測します。
センサーはケース右側面に取り付けて、穴の中心部に焦点を合わせます。RPR-200の場合センサーの6ミリ先に焦点が合うようになっています。
上部計測用の穴はモーターのメタルベアリング径に合わせてあり、振動防止にゴムのパッキンを付けています。
<マイコンプログラムの作成>
マイコンプログラムはトランジスタ技術の周波数カウンタのプログラムを参考にし、R8C急速充電器のプログラムを修正して製作しています。
前回LCDディスプレイのデータビットにP1_4からP1_7を使用していたのを、P1_7がイベントカウンターモードの入力となるので使用できず、P1_3からP1_6に変更するのにかなり悩みました。ビットシフト(code >> 1)の記述で何とか動作するようになりました。
タイマXのイベントカウンタモードではPREXレジスタは256のダウンカウンタとなり、1秒間に計測した回数の最大値256では256×60秒で15360rpmまで計測し、それ以上の回転数はPREXレジスタのアンダーフローをカウントするTXレジスタのダウンカウント数ごとに15360の倍数を加えて表示します。
作成したメインプログラム
液晶表示プログラム
<製作しての感想>
現在テスト使用中で実用上は問題なく動作しています。15360rpm以上のTXレジスタの動作域で1秒ごとにカウンタがカウントされず、15360rpm低い値となるのがやや不満です。GTチューンモーターや540モーターの場合無負荷時の消費電流は2A程度ですが、23Tモーターの場合5A以上となるためパワートランジスターはかなり熱くなります。放熱器とファンは必須です。