コントロールアンプにDAC組込 2000/8/26更新
<改造のきっかけ> 2000/7/21
パソコン用にDACを使用したため、オーディオ用のDACが無くなり製作を考えました。これからはコントロールアンプにもデジタル入力がある方が汎用性があり良いと思います。
秋月電子通商のオリジナル液晶テレビのキットを製作したとき、目についたPCM58PとYM3434のセットを買っておいたのを利用して製作を始めました。出来るだけローコストで使いやすくと考え、ラックに入れるスペースも無いので、コントロールアンプに組込むことにしました。DACを入れるスペースが少ないのでDAC基板とIVコンバーター基板を、アルミ板を間にはさんで2階建てにして入れる事にしました。ケースは鈴蘭堂のCL-10ALを使用しているので内部高さが50mmですがぎりぎり納まりました。
DAIはCS8412CP(MJ無線と実験に広告を出しているエイフルで購入)で製作したのですが、デジタルフィルターYM3434からシリアルデータが出力できないので(原因不明)、デジタルフィルターをSM5843Aに代えて製作しかえました。DACの製作資料が少ないので不明の部分があり苦労しました。
SM5843Aは共立エレショップに注文しました。4月に注文しましたが品切れで7月になって届き、何とか完成させることができました。
DAC基板、下がIVコンバーター、上がDAC部分
正面左前DAC基板、基板を外してLSI側を見た状態(LSIは外している)
背面、右手前デジタル用電源トランスと電源部、左側2個の基板はコントロールアンプ基板
DAC基板を組み込んだ状態、右のケミコンはI/Vコンバーター用電源部
<主な使用部品>
バーブラウン18ビットシリアル入力D/AコンバーターPCM58P |
秋月電子通商で購入 |
東芝光受信モジュールTORX178A |
秋月電子通商で購入 |
DAI復調LSI CRYSTAL CS8412CP |
エイフルで購入 |
デジタルフィルター NPC SM5843A |
共立エレショップで購入 |
マルコン OSコンデンサー |
若松通商で購入 |
以上すべて通販で購入しました。 |
<設計>
取り付けスペースが限られているのと、複雑な回路は苦手なので2ndPLL回路などは付けず必要最小限のシンプル回路にしました。作りやすさを考えDAC部分とIVコンバーター部分でプリント基板を2枚に分けて製作するようにしました。プリント基板はサンハヤトのICB-93SGを使っています。
通販で手に入るCS8412CPを使用し、同軸入力と光入力をRXP,RXNの各入力端子に直接接続して入力があった方が自動的に選択される回路を採用しています。デジタルフィルターSM5843Aの入力に合わせてM0,M1,M2,M3の各モードセレクトピンをHIGH,LOW,HIGH,LOWにセットして16ビット出力とします。(HIGHは+5V,LOWはGNDに接続)
電源回路はCS8412CPのデータシートではデジタルとアナログを供給するようになっているが、デジタルフィルターとデジタル電源、DAコンバーターとアナログ電源の系統だけ分けてアナログ電源からフェライトビーズのEMIフィルターを通してデジタル電源を供給するようにしました。
CS8412CPのデータシートはwww.cirrus.co.jpでPDFファイルが手に入ります。
最初はヤマハYM3434で設計したのだが秋月電子通商付属のデータシートではCS8412CPとのインターフェイス信号のデータが無くclockとラッチ信号は出力できるがserial data信号が出力できず、また原因もよくわからないのであきらめ、通販で手に入り、www.npc.co.jpでデータシートがPDFファイルで公開されているSM5843Aに代えました。
システムクロックは256xfs/384xfsが選択できるのでCS8412CPのマスタークロック出力256xfsを利用します。
出力はD/Aコンバーター、バーブラウンPCM58Pに合わせて18ビット出力にセットします。
デジタルディエンファシスのコントロール信号はCS8412CPの出力信号を反転して入力しなければならないのでインバーターに74LS04を使用しています。
バーブラウンPCM58Pは電圧が+5V,-12Vと変則的なので、デジタル回路専用の電源トランス (12V-0-12V) を増設し、電源回路以外のバイパスコンデンサーをOSコンデンサーで統一してDAコンバーターでは使用例が多く音質が良いというOSコンの音質を確認したいと考えました。
ラジオ技術1993年5月号の別府俊幸氏が発表されたトランス・インピーダンス・アンプ使用のI/Vコンバーター回路を参考に設計しました。
アナログフィルターはCR2段とし、カットオフ周波数は1段目36KHz、2段目は24KHzとしました。実測ではトータルのカットオフ周波数は20KHz(-3dB)となりました。試聴した感じではCDプレイヤーCD94内蔵のDAコンバーターに比較して高域の伸びが足りないように感じられもうすこしカットオフ周波数を上げたほうが良かったかも知れないと考えています。出力レベルはCD94の1/2ぐらいとやや低いが音質に問題はないようです。
電源はコントロールアンプの電源トランスタンゴCT−10(32V0.1A,6.3V0.3A)2個の内使用していない6.3V巻き線を使い±8.0VをI/Vコンバーター専用として安定化電源を使用せずケミコンから直接供給しています。
<製作>
DAC基板はICソケットを使い各IC間の配線はテフロン皮膜単線でプリント基板の表面を配線し、電源・アースラインは裏面をモガミ電線7本よりで配線しました。
I/Vコンバーター基板はLRを一枚基板としたので入力を外側にした対象配置とし、モガミ電線7本よりで配線しました。
<失敗談>
ICソケットの電圧チェックをした後、電源スイッチを切り忘れてSM5843Aを挿そうとグイグイ押し込んでいると、LSIが猛烈に熱くなって、3ヶ月も待って購入したSM5843Aを壊してしまったと思ってがっくりきたのですが、何とか正常に動作したので助かりました。
I/Vコンバーター基板はLRを対象配置としたので、片チャンネルだけ基板配線図を書いて配線作業をしたので、初段トランジスターを対称に配置せず同じ方向に付けてしまい、右チャンネルから音がしないので誤配線に気がつきました。
<調整>2000/8/26
調整作業はテスターとオシロスコープで行いました。LSIを挿しこむ前にテスターでICソケットの各ピンの電圧を確認し、LSIを挿してからもう一度異常な電圧が出力に出てないか確認して、CDプレイヤーからデジタル信号を入力してオシロスコープでDAC基板の各LSIの出力波形を観測しました。正常だったのでI/Vコンバーター基板を接続して音を出してみました。
最初は右チャンネルから音がしないので誤配線に気がつきました。その後トランジスターを取り替えて正常に音が出るようになりました。
試聴が終わったところで、デンオンのオーディオテクニカルCDを使用してCDプレイヤーCD94のアナログ出力と切り替えながら出力波形をオシロスコープで観測してみましたが劣るところは無いようです。
周波数特性はオシロスコープで測定しました。オシロスコープは周波数特性5MHzのローコストなオーディオ用ですがLSIの20MHzの信号も何とか観測でき、出力信号の解析に役に立ちました。
<音質>2000/8/26
CDプレイヤーCD94のアナログ出力と切り替えながら比較してみると、このDACはノイズ感の無いクリアーな音質です。CD94のややノイズ感のある高域が音場の広がりを感じさせている部分がこのマシンに欠けている点で、女性ボーカルがクリアーで聞き取りやすい点が良いところだと思います。
DAコンバーター回路図 2000/8/26