FANコントローラーの製作

静音化のきっかけ

2001年にCeleron566MHzのクロックアップ用CPUクーラーの騒音対策に製作したFANコントローラーは最新のPentium4 2.4B GHzマシンではケースファンのみに接続していました。最近静音タイプの電源に交換してCPUファンの音が気になりだしたので、騒音対策にCPUファンに使用することにしました。

FANコントローラーの設計

手持ち部品の可変出力3端子レギュレーターIC、LM317Tを利用して、サーミスターの温度による抵抗値の変化で電圧を変化させて、FANの回転数を制御するように考えてみました。

以前12VCPUファンを5Vで動かしてみたら起動トルク不足で回転しなかったので、電圧はケース内温度15℃で6Vから50℃で9V程度に変化するように設定しました。

マザーボードのファンコネクタにFANコントローラーを接続し、レギュレーター出力にFANを接続します。ファンのパルスセンサーはスルーにしてそのまま接続するようにしました。

回路図

LM317Tは許容損失15W、負荷電流1.5Aで出力電圧1.2V37Vの範囲で任意に設定できる3端子レギュレーターです。サーミスターが無い場合 VOUT= 1.25X(R1+R2)/R1の式で電圧が決まります。規格表によると、R1240Ω、R25KΩの可変抵抗で1.2V25Vの可変出力が基本接続になっています。

サーミスターは温度が上がると抵抗値が低くなるのでR1に並列に接続すると温度が上がると電圧が上がってファンの回転数が上がるという動作になります。電圧の変化はR1無しが変化巾最大となりR1の抵抗値が低いほど変化が少なくなります。

今回購入したサーミスターは2種類で1個は15℃で3KΩ、45℃で1.1KΩ、もう1個は103AT-2という製品で、15℃で10KΩ、45℃で4.3KΩに抵抗値が変化しました。

CPU用は103AT-2という25℃で10 KΩタイプにしました。規格表によると0℃ 27.3 KΩ、15℃ 14.7 KΩ、30℃ 8.3 KΩ、45℃ 4.9 KΩ、60℃ 3.0 KΩに変化します。

15℃で3KΩの方はR11KΩ、R23.3KΩにして、103AT-2(10KΩ)の方はR15.6KΩ、R215KΩにしています。103AT-2(10KΩ)の方はファンを接続しないと負荷電流が少なすぎてレギュレーターが動作しなかったので、負荷にR33KΩを接続しています。

103AT-2(10KΩ)の方は計算上0℃ 5.3V、15℃ 5.8V、45℃ 8.4V、60℃ 10.8Vに電圧が変化するはずです。

製作

広島の松本無線パーツでDOS/V機ケースファン用コネクタが手に入ったので、ケースファンやCPUクーラーのコネクタはそのままで簡単に元に戻せるようにしました。

ケースファン用とCPUクーラー用の2回路を1つのプリント基板に組んで、ケースファン用サーミスターは基板にCPUクーラー用のサーミスターはコードの先に付けて位置が変えられるようにしました。

 

FANコントローラー基板

ケースファン用は2台接続できますが、パルスセンサーは1台のみ接続にしています。

左下の先端の黒い部分がCPUクーラー用サーミスターです。

動作状況

FANコントローラーの出力電圧は20℃で6.8V程度でした。SpeedFanというソフトでチェックしたファンの回転数は以下のようになりました。今のところ春は53℃がCPUの最高温度でFANコントローラーを使用可能です。

夏は室温30℃でワープロを使用して45℃ぐらい、CGのレンダリングでCPU負荷100%を10分間程度で63℃まで上昇して、CPUがクロックダウン(280MHz)になってしまい、夏の間はCPUのFANコントローラーを無しにしようかと思いました。しかしノーマルだとやはりうるさいので、低速回転でもよく冷える高性能なCPUファンを探すことにしました。

CPU温度

FANコントローラー無し

温度 26℃

温度 45℃

温度 63

FAN回転数

3750 RPM

1650 RPM

2500 RPM

3070 RPM

パソコン内部、リヤケースファンのすぐ上にFANコントローラーを付けています。

SpeedFanによる分析

SpeedFanというソフトでFANの回転数とCPUの温度変化を分析してみました。

夏のスイッチオンから高負荷24分間のグラフ

 CPU付属ファン回転数

室温30℃ではスイッチオン2350回転から高負荷では2900回転まで上昇しました。低負荷での使用では2650回転程度で安定します。

FANコントローラー無しでは、最初2800回転から徐々に上昇して3750回転ぐらいで安定します。騒音はやや気になります。

夏の高負荷7分間の温度上昇グラフ

CPU付属ファン温度

低負荷状態の47℃より高負荷にすると5分程度で60℃オーバーまでCPU温度が上昇しました。

FANコントローラー無しでは、CPU温度55℃まで上昇しました。

CPUファンの交換

夏でも静かで冷えるCPUファンとするにはファンの交換しかないという結論に達し、銅製で比較的小型のクーラーマスターCyprum 103という製品を購入しました。(税込み3980円)

FANコントローラーの使用が前提なので比較的高回転タイプとし、ケース内部が窮屈なのでなるべく小型のファンを選びました。

性能はIntel Pentium4Prescott) 〜3.4GHz 相当対応

ファン回転数4100 RPM

 

ファン ノイズレベル

36 dB(A) という仕様になっています。

 Intel 純正ファンとCyprum 103

Cyprum 103の動作状況

Intel 純正ファンは取り外しが難しいのですが、Cyprum 103は取り付け、取り外し共に簡単で使いやすいCPUファンです。

音も静かで室温30℃以上の真夏にCPU負荷100%でも56℃までしかCPU温度は上昇しませんでした。

CPU温度

FANコントローラー無し

温度 40℃

温度 43℃

温度 56℃

FAN回転数

4100 RPM

2900 RPM

3010 RPM

3250 RPM

 

夏のスイッチオンから高負荷6分間のグラフ

 Cyprum 103ファンスピード

 

夏の高負荷6分間の温度上昇グラフ

 Cyprum 103温度変化

 

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