CONTAX T 改造レンズの製作
LUMIX GX7に取り付けたCONTAX T 改造レンズ
改造レンズスペックは38mm/F2.8、撮影距離1m〜∞、絞りF2.8〜F16、重量35gです。
レンズの使い勝手はCONTAX Tと同じですが、マイクロフォーサーズなので35mm換算焦点距離は76mmとなります。
製作のきっかけ
30年ぐらいまえに購入したCONTAX Tは2000年頃にデジタルカメラに移行してから使用しなくなりました。
2014年1月に久しぶりにチェックしてみると絞り幕後ろのレンズに直径3mm程度のカビが生えていました。フィルムで撮影することはなくなりこのままではカビが増殖するだけなので、カビ除去を兼ねてマイクロフォーサーズ用レンズとして改造することにしました。
改造レンズはCONTAX Tのレンズを取り外したものを使用し、マウントはボディキャップに穴を空けて製作しました。
CONTAX Tのレンズはフォーカスも絞りもマニュアルなのでシャッターユニットを取り外せばそのまま使用できます。マウントは加工が簡単そうなのでGX7についてきたボディキャップを使用することにしました。
ボディキャップなのでレンズロックピンは使えませんが、レンズは小型軽量なので不安感はありません。
CONTAX T
CONTAX T分解
コンタックス Tの分解方法はネット上にはレンズの取り出しについてはありましたが、レンズそのものの分解方法はなかったので紹介します。
コンパクトカメラでネジ類は小さく種類も多いのでプラスとマイナスの精密ドライバーセットが必要です。レンズの取り出しだけなら特殊工具は必要ありません。
レンズの取り出し方法は沈胴式レンズユニットの前板に隠しネジが4本あり、カッターの刃で丸いプレートをとりネジを外すと、前板はアームに沿って90度開くことができます。
ストッパーになっている前板を開いて、強引にレンズ引っ張るとレンズを取り出すことができました。
前板のネジは上2本とアームの下に2本あります。
レンズ分解
レンズの分解はレンズ前側から行います。
丸いネームプレートの接着をはがすと下にビニールの輪が2ヶ所ビス止めされているので外します。
ビス止め元の丸いポールは溝がありマイナスドラーバーで回すと外れます。受光部もプラスチックの棒なのでピンセットで引っ張ると簡単に外れます。
ピントリングの真鍮色の部分は逆ねじになっており、黒いリングでピントリングを押さえています。
黒いリングを少し動かしてから、ピントリングは逆ねじなので時計方向に回すとピントリングは外れます。
写真は左のリングが目盛りリング、手前のリングが絞りリング、奥のリングがピントリングです。
ピントリングを外すと目盛りリングで絞りリングを押さえてあるので、ビス2本を取ると目盛りリングと絞りリングを取り外すことができます。
絞りリングを外すときは、ベアリングの玉とスプリングで絞りの節度を出しているので、ベアリングの玉が飛び出します。1mm以下の玉なので飛ばすとわからなくなると思います。
スプリングも1mm以下なのでわからなくなります。私は再組立のときにスプリングを飛ばしてわからなくなりました。ベアリングの玉をスプリングの上にセットするのは難易度がかなり高いと思います。
レンズ後ろ玉を分解する必要がなければ、絞り連動の金具を外せば360度回せるので絞りリングは外さずにリングの隙間からシャッターユニットのビスを外すこともできるかもしれません。
リングを全部外すとシャッターユニットを取り付けているビスが見えるので、シャッターユニットを外します。
写真はシャッター側からレンズベースとレンズユニットを見ています。
シャッターユニットを外すとレンズベースも取り外すことができ、レンズの回転を止めている金具を取り外してレンズを回転させてシャッター側にレンズユニットを外します。
レンズユニットは絞りまで一体になっています。絞りの後ろ側のレンズはレンズユニットの横から1mm以下のマイナスのイモネジで固定されています。
イモネジは小さく舐めやすいのでぴったり合うマイナスドライバーが必要です。
私は4本中2本しか外せませんでした。しかたがないのでドリルで舐めたイモネジの頭を削り取ってレンズ後ろ玉を外してカビを除去しました。
レンズ後ろ玉を外すと絞りもバラバラになります。シャッター幕と絞り幕はプラスチックでできています。
再組立はイモネジ2本になりましたがレンズ後ろ玉の固定はできました。
後は逆の手順で元に戻します。絞りリングのスプリングを飛ばしたので絞りはスルスルで簡単に動いてしまいます。
仕方がないのでシャッター幕を丸く切ってワッシャーを作り、絞りリングと目盛りリング間のビス止め部分2ヶ所に入れてフリクションを与えるようにしました。
薄くて少し硬いシャッター幕でちょうど良いフリクションになりました。
写真はボディキャップとシャッターユニットを外したレンズです。
ボディキャップのバヨネットの内径が36mm、レンズの外径が33mmで隙間は1.5mmあります。
レンズの後ろが沈胴式のストッパーになっており1〜1.5mmくらい広がっているので、33mmの穴を空けてレンズを後ろから入れると、バヨネットの爪の部分が少し膨らんでいることもあり、ぴったり合う感じです。
0.2mmのプラペーパーで内径33mm、外径36mmのワッシャーを作り無限遠が出る位置を、カメラにセットしてワッシャーの数でカットアンドトライして調整しました。
ミラーレス一眼は実際の像を見ながら調整できるので調整は簡単でした。0.2mmワッシャー4枚、0.8mmボディキャップ底より入った位置で決定しました。
写真はボディキャップ裏面です。裏側はグルーガンで固定しました。
レンズ裏面のシャッターユニット取り付け部分はポリカカラーで黒く塗っています。
写真は完成したレンズです。
表側のボディキャップとレンズの隙間はスーパー多用途接着剤を爪楊枝で隙間に充填しました。
ボディキャップ加工面が汚くなったので、プラバン0.4mmでリングを作り塗装したものを貼り付けています。
写真はLUMIX 20mm F1.7とケースに入れた改造レンズです。
レンズキャップがないので、レンズは持ち運び用にオリンパスのアクセサリーケースにいれて保管しています。
自宅の花を改造レンズでテスト撮影してみました。
最短撮影距離1mでこれぐらいのアップです。
比較画像として改造レンズ 38mmで撮影した画像です。
上の画像と同じ場所をLUMIX 20mm F1.7で撮影した画像です。
LUMIX 20mm F1.7の方が解像度は高く、画面の隅までクリアな感じです。改造レンズはやや緩い画像ですが雰囲気はいい感じです。